前編
ここは「サムライズ」という、村というには大きいが、街というには小さな町。
その町の外れにある一軒家から声が響き渡る。
「グラード!!」
40歳前後の男。この家の主。
「何?父さん」
物陰からヒョコっと顔を出し答える少年グラードくん。歳は12歳
「何処へ行く気だ?」
額に青筋を立てながら、低い声で問う。
「シュティル達と約束してるんだ。残りは、帰ってからね!」
と言い放ち剣を担いで外へ駆け出して行く。何をかくそうこのグラードくん
ファイター見習なのだ!!って・・・お父さんが元傭兵なのだが・・・
「こら!待ちなさい!!」
やっぱり怒鳴りつけるお父さん。それを見ていた女性が声をかける。
「あなた・・・」
ため息交じりでいさめるこの女性歳は30代後半といったか・・・女性の歳は
言うもんじゃないか(笑)グラードくんのお母さん。
「まだ遊びたい盛りなんですわ、もう少し遊ばしてやりましょう」
にこやかに言うお母さん。得も言われぬ迫力を感じ黙ってしまうお父さん。
だらしない・・・
ここは「サムライズ」から少し北に行ったところにある洞窟の入り口。
そこに一人たたずみ、町の方をみすえるグラード。
そうすると、町の方から二つの人影がゆっくり近づいてくる。
「よ〜!」
手を振るグラードに二人もそれぞれ
「やぁ」
「こんちわ」
と挨拶をする。歳は両方ともグラードと同じくらいで一人は、
ちょっとヒョロリとした感じがするが、スッタフを持っているのと、
服装からしてソーサラー見習だ。名はシュティル
もう一人はコロコロまあるい感じのパンピ−のシャウル。
そしてもう一人シャウルの足に隠れている女の子
「にいたん」
「いっ!?」
シャウルの影に隠れてシャウル一人にしか見えなかったものだからびっくりのグラード。
そして、もう一つ驚くべきは・・・
「えへ!ついてきっちゃった」
とあせり笑いを浮かべるシャウル
「えへ!じゃねぇだろ!!エルはまだ2歳だぞ!!!」
そうこの女の子はグラードの妹で名はエルシア。歳は2歳なのだ
「しかたないだろ・・・まくわけにいかないんだから・・・それこそ迷子だ・・・」
とシャウル
「・・・サムライズでエルシアが俺んちの子だって知らねぇやついねぇじゃんよぅ」
とグラード
「・・・・・・・・・」
全員黙り込む。グラードくん一家けっこう有名人らしい。
「えゆもゆくぅ」
とグラードのズボンの裾を引っ張りながら、言う
「と言われてもなぁ・・・」
心底困った顔でつぶやくグラード
「まぁまぁ、エルシアちゃんは、責任もって見てるからさ、入ろうよ洞窟」
とシュティルに促されて持ってきた松明に火をつけ洞窟の中へ入っていった。
・・・書くんか・・・ホントに・・・というわけで、前編終了。