オリジナル小説  第6話

「魔力が使える者と使えない者の差。ハンデよ」

それを合図に戦いを始める

右足で地面をけって、佐藤さんに上面から拳を突きだすスティルネスさん!

佐藤くんは余裕で軽く左足を軸によけながら回し後ろ蹴り。

左手でガードし、佐藤くんの左足に払いをかけるスティルネスさん

ガードされた足の反動を利用して後ろに飛ぶ佐藤くん

「ふぅん、あんたはやるようだな。そしたら本気で行こうか」

背中に背負っていた棒を取り出し、無表情になる

「こっちも魔力使わせてもらうわ」

と構える。

先に動いたのは佐藤くん、低く体制をとり腰の辺りを棒でスウィングする

リストバンドの部分で受け止めて、逆手で魔法を発動

またまた受け止められた棒を軸にジャンプして背中側に回り込み

下からすくい上げる

それをあっという間にこなしてしまう。解説している私も、実は見れていない部分もあったりする

流れるような動作とはこのことを言うのだろう。

魔力を使うと言っていたスティルネスさんだが、全然大技を使おうとはしない

どちらかというと、手が届かないからとか牽制とか、そういった類のために使っているよう。

なもので佐藤くんも時には足を、時には手を、時には棒を軸に飛び跳ねたり体を捻ったりで交わしてしまう。

二人の力は肉薄している?長年(?)神族として戦ってきたスティルネスさんと、

人間として暮らしてきた佐藤くんが?

やはり本気を出して殺してしまったりとかないようにスティルネスさんが手加減しているってことかな。

と、あれこれ考えている内に佐藤くんはまたまた棒を利用して高々とジャンプし木の上へ、木の葉に身を隠す。

枝と枝を飛び跳ね、私たちの周りを周っているようだ。

スティルネスさんの手が動く、呪文を詠唱しているようだ。

やっぱり魔力の使い方は、晃兄と同じようで、詠唱呪文と印を結ぶことによって魔力を増幅しているみたい。

晃兄の場合は、増幅すると使う魔力自体も詠唱と印無しの時の半分ですむんだとか。

(私は使えないので当たり前だが実感がない)

突然、私の横でも詠唱呪文を唱える声がする。

晃兄だ、呪文の内容は防御呪文。なんで?

「魔力障壁(マジックウォール)」

防御呪文の方が詠唱時間は短い。さらに詠唱を続ける

「魔法拡張(エクステンション)」

自分で自分の魔力を拡張し、自分の周りのみを囲う防御壁を私も囲えるように、そして強化する

「爆炎(フレイムブロウ)」

晃兄が唱え終わったのと同時に、スティルネスさんも呪文を解き放つと大爆発が起こった。

あまりに大きな音だと音が聞こえなくなるのか、何も聞こえず目の前が真っ白になる。

何秒だか、何分だかたって目が見えるようになって見てみるとほとんど大爆発前とかわりがなかった

なんで?

私の疑問を感じたのか、ひょっとこちらを向いてスティルネスさんは教えてくれた

「この魔法、ちょっとアレンジしてあるから、ターゲット以外はなんともないのよ。

爆発内にターゲットがいれば、何らかのダメージいくんだけどね」

とウィンクする。

「爆発内にいなきゃいいんだよな」

そしていつの間にかスティルネスさんの真後ろに立っている佐藤くん

驚いているスティルネスさんに回し蹴り、スティルネスさんは防御が間に合わず、吹っ飛ばされる。

「それに、地面の下ってのは攻撃行き届かなかったみたいだし」

右肩で黒い棒を担ぎつつ、笑みを浮かべる佐藤くん

いったいあんたは何者なのよ。本当に・・・

「約束どおり、二人とも倒したぜ。開放してくれるんだろ?」

「約束は守るわ」

回復魔法をかけつつ、むくりと起き上がるスティルネスさん

「でも、貴方が神族だと敵も解っているだろうから、貴方の方にも攻撃いくと思うわよ」

しれっと言う

「・・・だろうと思った・・・となるとあのままあの学校に通うわけにいかねぇなぁ。」

あれ?もしかしてこちらの味方になってくれるのかな

「ま、なんとかなるだろう。んじゃな」

てぇぇぇっ、そのまま帰るんかい!!

回れ右したとたんピタっと止まる佐藤くん

「姿や声を変えても、指紋や声紋が変えられないように、魔力の波動も変えられないぜ」

木陰からかおを出すは、ダーク=ブルー

「ダーク・・・どうだった?私が言ったことあっているでしょ?」

「へっ、お見通しかよ・・・そうだな、魔力の波動が違った。」

「で、これからどうする?利害が一致する以上いっしょに行動した方が得だと思うけど?」

「ニセ皇帝を倒したいって意味では利害は一致しているな」

と苦笑するダーク

「神族が二人いて、神族クラスの魔力を持っている貴女と・・・戦力充分だし」

「ちょっと待て、俺はまだお前らの仲間になるなんて一言も・・・」

スティルネスさんとダークのやりとりに抗議する佐藤くん

「言ったじゃない、貴女が神族である以上、攻撃対象になるのは否めないって」

「姿かたち、そして声を変えたところで魔力の波動なんかは変えられない、

 そこの皇家側近の男にだって感知できるぞ?」

横で少し困惑している晃兄である。後から聞くと神族クラスの魔力は桁が違いすぎて逆に

感知できないのだそうだ。だから人間界に紛れた神族を探す命令が下ったけど

すぐに特定できなかったのはそのためなのだそうな。

「ひっでぇ、最初からそのつもりだったのかよぉ」

「約束は守るわよ。ただ、協力してほしいなぁって」

ぶりっ子ポーズをとるスティルネスさん

「こいつらと居た方がいいんじゃねぇの?神族って星に住まう命のどれかがなるんだろ?

ってことはお前の両親って普通の人間だろ?だったら、そっちに帰れば家族は、確実に危険が及ぶぜ?」

「普通の人間かどうかは別にして(ぼそっと)しゃぁねぇなぁ」

心底いやそうな顔をする佐藤くん

「いやぁったぁ、改めて自己紹介ね。私は新庄淳、でもこれは人間界名で本名はジュンティル=シン」

早速、自己紹介をしてしまう私

「私は人間界名:新庄晃、本名:アキラル=シン。本来の職業は医者」

お兄ちゃんが自己紹介する。回復や防御の魔力が強く、他全般魔力的知識が秀でているので

若干16歳で皇家の側近として抜擢されたの。でも魔力が全然身につかない私にとっては

すご〜く困った存在なの。だって、何かと言って兄と比較され続けるのよ

いやじゃない?「お兄さんはよくお出来になるのに」そう言われ続けてきた

コンプレックスにならないわけがない。

「スティルネス=ランスロープ。一応これでも神族の端くれ。戦闘タイプは格闘技よ」

「ダーク=ブルー、どうやらお前の分身らしい。」

「・・・(ふぅっ)佐藤実。みのるって呼んでくれればいい。」

と、自己紹介が終わる

「ではみのるさん、今日からでも私どもの家へ来てください。覚えていただきたいことはいっぱいありますから」

そういえば魔法の形態はどっちのパターンとるんだろう。似たり寄ったりみたいだけど

「私たちも行っていいかな?」

口に人差し指を当てて覗き込んでくるスティルネスさん

「あ・・・はい」

思わず返事する晃兄。

にぎやかになりそうである。しかしダークが仲間になったことで大変なことがあろうとは

この時の私には知る由もなかった

★あとがき★ スティルネスが仲間になった。 みのるが仲間になった。 ダークが仲間になった。 といっぺんに5人パーティです(笑)といっても一人役立たずですが(苦笑) でも、まだまだ謎があります(謎なんか?)みのるのあの戦闘能力がどこからくるものなのかということ。 それは、いつ解るだろう・・・俺にもわからん(笑) さらに最後の複線も・・・いつ生かせるだろう(おいおいっ(汗)

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